最終更新日 2025年7月7日
●後遺障害とは
けがや病気をした後、何らかの障害や症状が残ってしまうことを後遺症といいます。
交通事故で大けがをした場合も一定の治療を終えた後、それ以上の治療ができないけれど何らかの症状が残ってしまうものを後遺症といいますが、その後遺症によって日々の労働に差し支えるようなことになった場合に、自賠責保険の保険金を請求するために等級で認定されている内容に一致する後遺症を「後遺障害」といいます。
※「交通事故による後遺障害等級認定の流れ」より
後遺障害の等級表が定められていて、その中で別表1では、1級と2級があり「神経系統の機能や精神、また胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を必要とするもの」に該当する一番重い後遺症が1級で、4000万円の保険金、「随時介護を必要とするもの」が2級で3000万円の保険金が適用されます。
別表2では1級から14級真であり「両目の失明や咀嚼や言語の機能が廃れた場合、両手両足のひじ上やひざ上から切断した場合や硬直などで機能を失った場合」に該当すれば1級とされ保険金額は3000万円、「片目の失明か両目が0.02以下になった場合や両手両足の関節以上で失った場合」は2級で2590万円、「片方の瞼の一部に欠損を残したり、まつげが半分以上はげてしまった場合や3本以上の歯にしか補修を加えた場合、片方の耳が1メートル以上の距離の小声が聞こえなくなった場合」などは14等級で75万円の保険金となっています。
これらの後遺障害等級に該当すると認定を受けた場合は、決められた額の保険金を受け取ることができるというものです。
●認定を受ける際に必要な書類について
このような等級については保険会社に対して必要書類を送り審査を受けることで認定を受けることができます。
その時に必要な書類は、
- 自賠責保険支払請求書兼支払い指図書
- 交通事故証明書や事故発生状況報告書
- 診療報酬明細書及び診断書
- 後遺障害診断書
- レントゲンやMRIなどの画像
の5点です。
認定を受けるにあたっては書面主義なので残った傷害の内容については書面で証明する必要があるのです。
したがって記載漏れや検査漏れなどがある場合に無効になったり不利益を被ることがあるので、必要書類の提出については慎重に行わなければいけません。
等級の決め方には併用、加重、準用の3種類あり、併用とは異なる障害が2つ以上あった場合には重い方の障害について等級が決められることで、加重はすでに持っていた障害が交通事故によりさらに重くなったというものに対して事故後の等級から事故前の等級の差額となります。
準用とは味覚や嗅覚など等級表に記載されていない障害を等級表に照らし合わせて決められるというものです。
等級の決め方としては、まず後遺症や障害のある体の部位で分類し、次にその障害が切断するなど物理的なものによるものか、動かなくなったなど機能的なものであるのかを分類します。
そしてその障害によって労働能力がどれだけ低下したのかということが考慮されて等級表をもとに等級を決めるという流れになっています。
●症状の固定について
このようにして後遺障害の等級が決められるのですが、けがの治療が終了した時点で医師が作成する診断書や後遺障害診断書、レントゲンなどの画像などの必要書類を保険会社に提出し、等級認定の審査を依頼し、等級が決まれば保険金を受け取ることができます。
しかし等級を認定するにあたっては、病院での治療が終わり症状が固定した時に精神的や身体的な障害が残り、その障害が交通事故と相当因果関係があること、将来的にも回復が困難で医学的にもそれが認められること、そして労働能力が失われていてその程度が等級表の内容に該当するものであることが定義されています。
症状の固定とは医学上行われる治療をすべて終えてもそれ以上の回復が期待できなくなった状態のことで、そのような時に申請する制度です。